男女群島 遠征記 ロックショアは究極のRPG -前編-
- 2021.12.01
- 釣果記録


少し早いですが、2021年の釣りも締めくくりに入っています。というのも、諸般の事情により12月は全く釣りが出来ないので・・・。
今年はSwitch、K山を筆頭に、エギング&ライトゲーム、釣りキャンプといった未知の釣りや、近くて遠い沖ノ島、壱岐のイズミ瀬など未踏の地に降り立つという貴重な経験ができた素晴らしい1年でした。
初のキロアップ アオリイカ
初のメーターオーバー ヒラマサの来襲。

ロックショアゲーム最高峰のフィールドとも言える男女群島。
ここへの遠征を年1行事として掲げ、遠征費用を捻出すべく不用品販売に取り掛かった訳ですが、これが遠征費用の4分の3を補填してくれるほどの蓄えとなり、 しかも会社の方も、この11月という、釣り人にとってはまるまるひと月休暇を取りたいくらいのハイシーズンに、奇跡的に大型休暇が取得可能という状況…

もはや男女群島釣行計画を立てずして今年を締め括るわけにはいかないと言わんばかりの環境が整いました。
10月末から計画を練り、約20日前から遊漁船を予約。
そこから当日の天候が気になって気になって、朝起きて気象予報アプリを起動してはアプリの機能上予測不可能な20日先の海象を脳内で予測 。
最悪、中止となった場合の上対馬地磯釣行プランも並行して準備を進める日々。

絶海の孤島というフィールドであるが故、天候が目まぐるしく変化し、それが大きな影響を及ぼす男女群島への釣行。
幸い、当日は天候に恵まれ、遊漁船も予定どおり出港。
それだけで既に幸せなのですが、冒頭でもお伝えしたとおり、今回、私が長いこと追い求めてきた大型ヒラマサとのビッグゲームを制することができました。
本日も勝手な自己満足釣行記録にはなりますが、この日の出来事を書き綴っていこうと思います。
– 準備編 – タックル&資機材
今回使用するタックルは、青物タックルのみです。
男女群島に行くのであれば、ライトゲームでいろんな魚を釣りたいと思ったりもしましたが、せっかく男女群島に行くのであれば、大型青物やキハダマグロが釣りたいので、目的の明確化のため、使うタックルは青物用タックルのみとします。
青物用タックル | |
ロッド | MC WORKS RAGING BULL 104XF-2 |
リール | SHIMANO STTELA SW 8000HG(20 STTELA SW14000HG スプール使用) |
PEライン | ダイワ(DAIWA) UVFソルティガデュラセンサーX8+Si2 6号 300m |
アシストPE | YGK アシストライン スクラム16 8号80lb 100cm |
ショックリーダー | よつあみ エックスブレイド(X-Braid) キャストマン アブソーバー 140lb 3m |
ただ・・・
我々が向かうのは、これまでの常識や経験が一切通用しないことが起こりうるフィールド、男女群島。
もしも『想像を超えた何か』に、このタックルが破壊された時のために、ヒラスズキタックルを忍ばせておくことにしました。

ブルーシート・テント・LEDライト・ペグ類・モバイルバッテリー
ルアー類・フック類・ライン類・替えスプール
ドンゴロス・ゴミ袋・保冷剤
餌用サバ20匹・ビニール袋10枚入り・水4ℓ・食料(肉類)
(その他)ライフジャケット・磯靴
渡磯時、道具の磯渡しの時の危険性を低減させるため、荷物はできるだけ軽く、小分けにしたほうが良いです。
荷物を少なくするために一つのバッグにまとめがちですが、3個の重たい荷物より、6個の軽い荷物の方が、道具を磯に上げる際の周りへの負担や危険性を軽減できます。
利用した遊漁船
あじか釣りセンター
1泊2日 | 2泊3日 | 肥前鳥島釣行 |
¥40,000 | ¥50,000 | ¥45,000 |
今回は、1泊2日の磯泊まり釣行です。
タイムスケジュールはこんな感じ
あじか釣りセンター 基地港 田平漁港へ
今回も生粋のジグマン K山との釣行。
約1ヶ月前の予約段階で、おばちゃんの話では
「揃い次第出港するから、12時ころにはついてた方が良いですよ〜」
とのこと。
慌てて船に飛び乗るようなことはしたくない(沖ノ島で経験済み)ので、10時過ぎには到着するよう出発しました。
道中、我々と同じ西にハンドルを切る、某有名プロショップや釣具メーカーのステッカーを貼付した車と遭遇、途中立ち寄るコンビニで餌師と思われるグループと遭遇、「あぁ、この人たちも目的地は同じか」とソワソワ、そんな遠征あるあるを楽しみながら向かうは平戸市田平漁港。
田平港近く、長崎県民にはお馴染み、スーパー エレナで最後の食材調達を済ませ、予定どおり10時にあじか船団が係留する基地岸壁に到着。
もうすでに大勢の人が集まっている!
これはYouTubeでよく見る光景だ。
おぉ、ついに自分も男女に行くんだ、とここで実感。
例に漏れずあじか大明神に安全釣行を祈願。

受付で乗船名簿に氏名&連絡先を記載し、K山は隣接する餌売り場で、夜のクエ釣り用サバを40匹ほど購入。
外で荷物を整理していると、船長と思われる方から名前を呼ばれ、
『ルアーですね!カイザーで行きましょうか!』
と声を掛けられる。
我々が乗る船は BLACK KAISERに決まりました。
あじか船団は、現在6隻が就航しており、うち4隻が男女群島の瀬渡しを担っています。
この日は、Black Kaiserと Black Heraklesが出港するようで、
我々のカイザーが先行出発するとのこと。
というか、集合時間まで1時間以上あるにも関わらず、もう出港しそうな雰囲気。余裕を持って到着したはずが、結局バタつくはめに。
荷物の積載作業が始まります。
まず、磯に降ろさないクーラーボックスから積み込みます。
磯に降ろさないクーラーボックスには、2日目の食料と、クエ用エサのサバ(2日目用)を入れて積み込み。
保冷剤を入れておきましたが、結論から言うと、5kgほど、氷を積んでおくべきした。
船内で氷がもらえると聞いていたので、空で来たのですが、氷がもらえるのは魚が釣れた時。
その間は基本的には持ってきた状態のまま保管となるので、個人的には、少量でも氷を補充した状態(あまり入れすぎると重くなって周りに嫌がられる)で乗せることをおすすめします。
荷物を積み込んで、カイザーに乗船。
田平港を出港します。
いざ、男女群島へ
カイザーに揺られること3時間。
気がつくとスマホの電波が・・・

ということは、、
つまり、

ついに男島が現れた!!
絶海の孤島という名に相応しい出立ちと何が起きても不思議ではない神々しいオーラにしばらく見惚れていると、船内外アナウンスで船長から名前を呼ばれる。
ミルコさん、最初行きましょうかー

エンジン音と航走波に掻き消されるとわかっていても、勢いよく返事を返す。
いつも間にかヤッケとゴム手袋の装備をまとったポーターさんの指示に従い、K山とオモテへ移動。
甲板上に這いつくばり、跳ねるような船体のピッチングに身体を同調させながらポーターさんの話に耳を傾ける。
良かったね〜、黒崎に乗れるよ!
ここはなかなか乗れる磯やないけん、頑張ってね
話によれば黒崎は、上、下の赤瀬に勝るとも劣らぬ特級磯とのこと。
大型青物の実績も高く、夜はクエの実績もあるようです。
K山もマスクから溢れんばかりのニヤけ顔でビンビン。
程なくして黒崎鼻が見えてきました。
久しぶりの特級磯やねー!!
大きいの出るけん頑張ってよー
15:20 黒崎鼻に渡磯
スタートフィッシング
風と潮の流れを確認。
思ったより風が強い。写真ではわかりづらいですが、体感で8m/sほど吹いています。
向かって右手(写真よりさらに右)は大きなワンドを形成しており、足場は目測5m。
一定の間隔で寄せる風波と、断続的に打ち寄せるうねりから、湾内にベイトが寄せられている可能性を感じます。
向かって左手は水道になっていて、目視ではっきりと分かるほど潮が走っています。
はるか沖には川の流れのように複雑な潮流が確認できます。
さてタックルの準備、まずは何から投げようか。
日中の時間帯、かつ波っ気があるというところで、音でアピールしつつもシルエットはボカす作戦でダックダイブ230F(クリアカラー)をセット。
立ち位置は向かって左、水道側。やはり目で見ても明らかに流れがある方に投げたくなります。
1投目から出そうな雰囲気。
風に大きく流されますが、ダックダイブを引いてみます。
K山は、ZENAQ MUTOS Accura 100HHに安定の撃投ジグ125gをセット、同じ水道側に向かってキャスト。
毎回思いますが、お互い魚へのアプローチが大きく違うことで、ボトムから表層まで広く海の状況を知れることから、彼との相性は良いと感じています。
1時間ほど経過しましたがお互い反応を得られず。
確かに、YouTubeで観る動画でも初日は何事もなく終わることが多い男女群島。
そう簡単に魚は現れてくれません。
ここでダックダイブからルアーサイズを変更、フィードポッパー170Fに切り替えます。
すると海の様子に変化が・・・
K山が、沖で何かが跳ねているのに気付きます。
ベイトが追われてる!!
カツオのように見えましたが、判然としません。
さっきのは何だったのか・・・しかしフィッシュイーターが活発になってきたことは間違いない。
周りを見渡すべく高い岩に登り、周囲を見渡す。
するとなんと!!
向かって右手のワンド内で、大量のベイトがまとまって飛び跳ね、着水してはまた飛び跳ねと、虹のような綺麗なアーチを描きながら、何かから逃げているではないか!
そして、その着水地点に先回りするかのように、どデカい水柱が上がっています。
右手のエリアは足場が高く、ルアーアクションが困難ですが、急いで駆け登る。ベイトの群れは既に沈んでいます。
フィードポッパーをフルキャスト!
しかし、やはり飛距離が足りません。
すると目測200m先で、どデカいスプラッシュ!!

2投目!!
やはり飛距離が足りませんが、高い足場から何とかルアーを操作しポップ音で誘い込む。
追い手の波にルアーが飛び出さないように、丁寧に引いてくるも、足場の関係上30m先からルアーアクションが破綻、リトリーブで回収・・・
バシャッ!!!
1回、2回と猛烈なチェイス!!!
リトリーブスピードは敢えて変えず巻いてくる。
そして足元、魚体を見せ、向かって左方向へ ズバッ!!!っとひったくるようなバイト!!

ジ、ジィーーー(ドラグ音)
竿に伝わる重量感!!
一瞬、右に走ったかと思ったらすぐに反転、左に走る!
自分の腹より下に竿がのされれると足元の沈み瀬に入られるので、高い足場を利用してしっかりとロッドを保持し、ロッドの復元力を利用して上方向にリフト、すると魚は下に潜れずすぐに浮いてきました!
魚の正体は・・・

とにかくこの高い足場ではどうしようもないので、ギャフ撃ちをお願いするべく大声でK山を呼ぶも、瀬の裏側(水道側)で投げているK山に声は届かない。

仕方なく、足場を移動しながらランディングポイントへ。
K山の姿が見えた!

しかしK山の様子もおかしい・・・。
いつもなら直ぐに駆けつけてくれるK山が、竿を曲げている自分を確認しても慌てる様子がない。
こうなったらずり上げるしかない。
フィードポッパーの3分の1がヒラマサ口の中に吸い込まれているので、トレブルフックセッティングではあるものの、おそらく多少の無理は効きそう。
安全な立ち位置に移動して、波のタイミングを測るが、なかなかこの魚体をすくい上げるいい波が来ない。
20秒後
ドーーンという波にロッドが一瞬軽くなり
波に揉まれながら、黒く巨大な魚体が磯上に姿を現しました。

ここでようやくK山が到着。
波打ち際に駆け寄り、ハンドランディングでキャッチ。
込み上げる喜びを分かち合う最中、K山が、
ん?どういうこと?私も何度も叫んでいたんですが・・・
竿を曲げている私を確認しても慌てる様子がなかったK山、その理由がこちら。

よく見ると、とんでも無くデカいスマガツオです。
長さと重さを計測したところ、何と
88cm / 8.6kg
水道側でキャストしていたK山と、ワンド側でキャストしていた私。
どうやら同じタイミングでヒットしたようで、K山はファイトを終えた直後で疲弊していたとのこと。
そのため直ぐにランディングに駆けつけるだけの余力と、見たことのないほどの巨大なカツオの魚体に頭の整理が追いつかず、ランディングが遅れたようでした。
続いてヒラマサの計測に移ります。
112cm / 11.20kg
当ブログに釣行記録を書き始めて、ショアから10kgオーバーのキャッチを目標に掲げましたが・・・
男女群島に到着して1時間、あっという間に夢が叶いました。
個人的な考察ですが、この魚をキャッチ出来た一つの要因として、足場の高さが関係していたように思います。
高い位置から魚の動きが見えたことによって、ロッドでのコントロールがつけやすかったこと。
そして支点が高い位置にあることによって、真下の足元に潜ろうとするヒラマサの力の向きに対し、正反対の向きにロッドの復元力が作用したことが、早く魚を浮かせられた要因であったと考察します。
そのため、しっかりと上にリフトするようなイメージでファイトしました。

下手ですみません。
足場の低い位置ではこんな感じで足元に入られるのかなぁと・・・
今回も、ほぼほぼ運が味方したことによってキャッチに繋がったわけですが、この思考(考察)を瞬時に脳内から身体へアウトプットしたことが功を奏したその証拠に、リーダーには一切根ズレした後がありませんでした。

ロックショアゲーム、青物、ヒラスズキetc..
これらを言い換えるなら
まさに究極のRPG(ロールプレイングゲーム)
情報を集め、装備を強化、仲間を増やし、経験値を蓄えて怪物に挑む。
時にはどうしようもない手に負えぬ状況に陥りながら
何度やられても、その原因を研究し
更なる装備と経験を携えて再度挑む・・・
我々はそんな素晴らしい世界を旅する純然たる旅人であり、そしてここ男女群島は日本という海洋大国が世界に誇る有数の好漁場、言うなれば誰も攻略法を知らない魔王の城といったところでしょうか。

大型のターゲットを仕留め、全員安打確定に沸いた私たちの旅は、日没を迎える直前、さらなるイベントが待ち構える第2章へと突入します。
– 後編へ続く –
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